はじめに
2023年度4月から本格的に稼働が始まったケアプランデータ連携システム
厚生労働省が推進する介護業務のデジタル化と効率化を目指した重要な取り組みです。
しかし、2024年7月の時点で導入しているのは7,770事業所。
全国には18万を超える事業所があるので、5%以下と低迷中…
ちなみにこちらはシルバー新報6月の記事↓
期待されたほどの導入が進んでいません。
ケアプランデータ連携システム利用状況がわかるサイト↓(株式会社ウェルケアのページ)
全国の導入している事業所数の合計の推移をみていくと
2024年のシステムが稼働開始した4月に7,457件で、毎月100~200事業所ずつ増加している。
注目は2024年3月に9,407事業所から、翌月の2024年4月が7,694事業所と大幅に減少している
これは、1年ごとの契約更新時期に、継続しなかった事業所が多数あることが推察できる。
「1年目はとりあえず導入してみたけれど…。2年目は止めとこう。」ではないだろうか。
この記事では、ケアプランデータ連携システムの現状と、
その普及が進まない理由を探るとともに、同様の機能を提供する他のツールとの比較、
そしてFAXが依然として主流である現場の実態について考察します。
こんにちは。デイサービスで相談員を11年目になるレイレイと申します。
これまで、一般型通所介護、認知症対応型通所介護、リハビリ特化型通所介護、地域密着型通所介護で相談員の経験をしてきました。
デイまめブログでは、僕自身が赤字経営のデイサービスに配属され、一年で黒字化へ転換できた経験をもとに、デイサービスでの業務改善や、稼働率アップにつながる情報を発信しています。
現役の相談員さんの抱える悩み解決のヒントにしていただけたらと思います。
ケアプランデータ連携システムの導入の障壁
なかなか導入が進まない要因には以下の3つがあげられる。
- 導入コストが安くない。
年間21,000円のライセンス料や3年間で13,200円の電子証明書発行手数料、さらに介護ソフトの月額利用料(5,000円~30,000円)が必要です。
- 導入時のストレス
システムのインストールなど導入には時間がかかり、操作を覚える必要もある。ITに不慣れなスタッフにとっては負担となる場合があります。 - 導入していない事業所が多いこと
中途半端に導入しているところ、していないところがある場合、それぞれに対応しなければならないので、業務が煩雑になる。利用している事業所が増えるほど導入メリットは高まる。一方、増えなければ、コストパフォーマンスが低いままとなる。
まだまだ平成のままの現状 FAXが健在!!
また、現場では依然としてFAXが主要なデータ送信手段として利用されており、この状況がデジタルツールの導入を遅らせています。
多くの居宅介護支援事業所では、ケアプランや利用票、提供票のやり取りにFAXが使用されています。
FAXは即時性が高く、長年の業務習慣として定着しているため、現場で広く使われていますが、いくつかの重大な課題も抱えています。
ケアプラン・提供票をFAXで送付することの課題
- セキュリティリスク
FAXは誤送信や受信後の管理不備による情報漏洩の可能性も高いです。
法人によっては、個人情報管理の厳格化のため、FAXの使用が禁止されいる事業所もあり、手渡しや郵送での送付が義務付けられています。これにより、業務効率が低下し、運用コストが増加しています。 - 送信コストがかかる
プリンタ用紙の消費、印刷代
入力→印刷→FAX送信 の手間がかかる プリンタとデスクの移動も馬鹿にならない
他のツールとの比較①FiNE-LINK PLUS
ケアプランデータ連携システムや、FAX、郵送などと同様にケアプランデータや提供票の送付ができるツールとして、ここでは、FiNE-LINK PLUSとカイポケを取り上げて比較したいと思います。
FiNE-LINK PLUSとは?
聞きなじみのない方も多いかもしれません。兵庫県の神戸市を中心に、LINE WORKSのプラットフォームを活用したサービスで、医療・介護・障害分野の連携ツールとして拡大してきているサービスです。
私の事業所でも導入しているます。
他のツールとの比較②カイポケ
- カイポケ
誰もが知る介護業務全般をサポートする包括的なプラットフォーム
カイポケケア連携(帳票の送受信によるケアプランデータの連携)やその他の業務効率化ツールを提供しています。特に、個人事業主の事業所や、ITリテラシーが高くないスタッフでも使いやすい設計が評価されています。
これらのツールは、ケアプランの共有に加えて、さらに幅広い機能を提供しており、現場での利用が進んでいます。
項目 | ケアプランデータ連携システム | FiNE-LINK PLUS | カイポケ |
---|---|---|---|
機能 | ケアプラン、利用票、提供票の共有に特化 | ケアプラン共有、事業所間や家族とのコミュニケーション、写真データの共有、BCP対策 | ケアプランや提供票などの帳票の送受信が可能、介護業務全般のサポート |
導入コスト | 年間21,000円 + 電子証明書発行手数料13,200円 + ソフト利用料月5,000~30,000円 | 費用情報は非公開、操作は簡単 | ソフト利用料月5,000~30,000円程度 |
操作性 | 操作に慣れるまで時間がかかる | LINE WORKSを基にしており、誰でも簡単に使用可能 | 幅広い機能で、現場の操作性が評価されている |
コミュニケーションツール | なし | あり グループ作成 通話可能 | 部分的にあり |
情報共有ツール | なし | あり | 部分的にあり |
対象ユーザー | ケアマネジャーと介護サービス事業者 | 地域医療機関、介護事業者、利用者、家族 | ケアマネジャー、介護事業者 |
まとめ
ケアプランデータ連携システムの普及が進まない背景には、セキュリティ強化に伴う導入コストや、システム運用の負担が挙げられます。
これらの要因を解消するには、システム導入の無償化、クラウドシステムへの移行、システム導入の強制化という方法が考えられるが、そう簡単にはいかないだろう。
科学的介護情報システム(LIFE)と同じく、開発と運用に多額の資金を投じられたシステムであるはず。。生産性向上を見込んで作られたものがまともに使われていない現状。
単純に考えても、18万事業所が契約するはずと見込んでいれば、見込みの約 37億8千万円である。でも実際は、8000事業所程度、1億6,800万円と 20分の1のボリューム。
なんとも胸騒ぎがする数字ですね💦
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